カブ(Cub)とは、本田技研工業が製造・販売しているオートバイであり、シリーズ車種として数車種が生産されている。
ヤマハのメイト、スズキのバーディーなどが競合車種であるが、「カブ」はこれら類似のビジネス・バイクを含めた総称・俗称として使われることもある。
元々は1952年(昭和27年)から1958年(昭和33年)まで生産された自転車補助エンジンキットの愛称である。現在では1958年(昭和33年)から生産開始したセミスクータ型のモペッドであるC100型以降のシリーズ名スーパーカブを略してカブと称することが多い。
カブの車名は熊などの猛獣の子供を指す英語のCubに由来し、小排気量ながらパワフルなオートバイをアピールした命名となっている。耐久性と経済性に富み、登場から半世紀以上を経た今日でも改良を続けながら、日本を始めとした世界各国で生産が続いている。
発売を開始した年だけでも9万台売れたという大ヒット商品である。本田技研工業株式会社によればスーパーカブ・シリーズの生産台数は2008年(平成20年)4月末時点で累計6,000万台[1]に達し、輸送用機器の一シリーズとしては世界最多量産・販売台数を記録している。
20世紀後半のモータリゼーション史上、四輪自動車分野のT型フォードやフォルクスワーゲン・ビートルに匹敵する貢献を残した二輪車である。しかも発売開始後50年以上を経ても、多くの原設計を引き継ぎながら生産が継続されている。
1950年代中期に至ると、初期ホンダの経営を支えた自転車後付け式のエンジンキットも同クラスの類似競合製品が増加し、カブも原動機付自転車業界の先行製品として安穏としていられる状況ではなくなりつつあった。
また戦後復興が進んだ日本の二輪車市場では、簡易な自転車補助エンジン車に不満足なユーザーから、富士重工業の「ラビット」、中日本重工業(のち三菱重工業)の「シルバーピジョン」に代表される125cc-250ccクラスの上級スクーターが、運転しやすさと性能面のゆとりによって支持を得るようになっていた。