スマート(smart)は、ドイツ・ベーブリンゲンを本部とし、主に小型車を製造・販売する自動車メーカー、また同社が製造・販売する自動車ブランドである。
ダイムラーAGの完全子会社。製造拠点はフランス・モゼル県ハンバッハにある。2008年度の日本での新規登録台数は1,111台である。
スマートは、2人乗りのマイクロカーを生産・販売することを発案したスイスの時計会社・スウォッチが、ダイムラー・ベンツ(当時)をパートナーとして開始された自動車事業である。スウォッチは当初、小型車を得意とするフォルクスワーゲンとの提携を企図したが実現せず、自動車事業の経験がないスウォッチと、小型車市販の実績がないダイムラー・ベンツ、という組み合わせでの企画となった。
1994年、二社合弁によりMCC(Micro Car Corporation )が設立され、フランス・モゼル県ハンバッハには、製造工場が建設された。
1998年、オリジナルモデルである「シティクーペ」(後の「フォーツークーペ」)が発売されたが、走行中に横転する問題が発覚し、設計を根本的に改善するために多額の費用が掛かった。
この際、ダイムラー・ベンツの出資比率が、設立時の51%から81%にまで引き上げられている。設立以降、スマート事業は12年に渡って赤字が続き、創始者であったスウォッチは完全に撤退した。2006年夏までの損失の累計は36億ドルに達すると報告されており、ダイムラー・AG自体も事業から撤退するのではとの憶測が絶えなかった。
苦境のさなか、2007年春には「フォーツー」がモデルチェンジし第2世代へと移行した。
他方、消費者の間でガソリン価格の高騰と地球環境への配慮から低燃費車志向が高まり、小型車の需要が見込まれている現状にある。このような情勢の中、2007年度にスマート事業はようやく黒字へ転換、2008年度も黒字となった。
2008年1月には、これまで実現していなかったアメリカでの正規販売が開始された。米国向けのフォーツーは衝突安全基準を満たすために全長が約15cm延長されており、販売価格は11,590ドル(約135万円)~となる。
安全基準は他のメルセデスの車種と同水準のものが適用され、小型車でありながら大型車と同様の衝突安全性を誇る。