フィアット(Fiat)は、イタリア・トリノを拠点とする同国最大の企業グループ。
社名のフィアットとはFabbrica Italiana Automobili Torino の略で、「トリノのイタリア自動車製造所」の意味。トリノ市のリンゴット地区に本拠を置くことから、フィアット本社工場と「リンゴット」はしばしば同義とされる。
「フィアット、陸に、海に、空に」のスローガンの元、自動車のみならず、鉄道車両や船舶、航空機の製造などの産業分野全般を掌握し、出版、金融等にも進出している。かつては「フランスはルノーを持っているが、フィアットはイタリアを持っている」とまで評された。イタリア証券取引所に株式を上場している。2007年までニューヨーク証券取引所(コード:FIA)にも上場していた。
業種は自動車製造、エンジン製造を始めとする製造業、農業、金融と多岐に及ぶ。各種製造業の多くがフィアットグループに属する。
かつてフィアットは航空機メーカーとしても名を馳せていた。特に軍用機の発注が数多くあった。
第一次世界大戦後、フィアットはポミリオやアンサルドといった小規模な航空機メーカーを吸収し、1930年代にはフィアット CR.32やフィアット CR.42といった有名な複葉戦闘機を世に送り出した。
第二次世界大戦では、ダイムラー・ベンツ製のエンジンを搭載した戦闘機フィアット G.55、優れたデザインの爆撃機フィアット BR.20などをイタリア空軍に提供した。
さらに、イタリア軍向けにフィアット レベリM1935重機関銃など機関銃を製造していた。
1950年代、NATO加盟国で共通の軽戦闘爆撃機を装備する計画が持ち上がり、フィアット G.91が設計された。
その後、航空機開発部門はアエリタリアを設立するためにアエルフェールと合併した。G.91の生産もアエリタリアが引き継いだため、アエリタリア G.91と呼ばれている。