アルテッツァ (ALTEZZA)/アルテッツァジータ (ALTEZZA GITA) は、トヨタ自動車が生産していた乗用車である。
プログレ/ブレビスとプラットフォームを共有するスポーツセダン/ショートスポーツワゴン(実質的には5ドアハッチバック)で、取扱店はネッツ店専売であった。
日本国外では、トヨタの最高級ブランドである「レクサス」のコンパクトセダン「IS」として販売された。製造は、岩手県胆沢郡金ケ崎町にある関東自動車工業岩手工場で行われていた。
E10型(1998年-2005年)
もともとは「コンパクトなボディーにFRレイアウトという走りのコンパクトセダン」として開発がスタートしたが、同時期に開発途中であった他のスポーツセダンと統合され、さらにレクサスの販売戦略における欧州Cセグメント車(BMW・3シリーズやメルセデス・ベンツ Cクラス等)の対抗車種としての役割も担うことになったため、「スポーツセダン」と「プレミアムセダン」の両方の役割が求められることとなり、高剛性かつ日欧米の各地域の基準をクリアする衝突安全ボディが採用された。その為に高出力のエンジンを持つが、1300〜1500kgと重量が重く、コンパクト、軽量とは言えないスポーツカーとなった。
「ショートオーバーハング+大径ホイール+ロングホイールベース」とスポーツカーレベルの走りを意識したプロポーションとなっている。このスタイルは、後のトヨタやレクサスのFRセダン(S180系クラウン以降のFRセダン等)に受け継がれている。なお、内外装にはトヨタ車ながら同社のエンブレムを装着しておらず(フロントグリルには「A」を図案化したエンブレムが装着され、ステアリングのセンターパッドやアルミホイールのセンターキャップには「ALTEZZA」の文字が入っているだけ)。
大小2つの円を用いたデザインのリアコンビネーションランプと大幅に切り詰められた前後オーバーハング、17インチアルミホイールと低偏平(45偏平)タイヤ、そしてクロノグラフをモチーフとしたメーターなど、当時の国産4ドアセダンとしては珍しい装備が多くなされている。
日本国内仕様のセダンモデルへの3リッターエンジンの搭載は見送られ、当初は直列4気筒搭載のスポーツモデルである「RS200」にのみに6速MTが設定されていたが、後に直列6気筒モデルの「AS200」にも追加された。逆にワゴンモデルであるジータには、当初「AS200」のみに6速MTが設定されていたがマイナーチェンジで消滅し、全車ATのみの設定となっている。なおAS200のATは4速、RS200のATは5速であった。
2005年、トヨタ自動車は日本国内でのレクサスブランドの展開を発表した。それに伴って後継車種となる2代目「レクサス・IS」の販売を決めたため、「アルテッツァ」の名称は消滅した。
エンジン・ドライブトレイン
エンジンは1G-FE型 直列6気筒エンジンと3S-GE型 直列4気筒エンジンを搭載している。どちらも2L。
3S-GE型エンジンは吸気・排気の両方にVVT-iを搭載する「デュアルVVT」や「チタンバルブ」(MTの210PS仕様のみ)」を採用するなど、当時の最新技術が盛り込まれている。ちなみに、従来の3S型エンジンとは、横置きから縦置き仕様へと大幅に設計変更されていることから(エンジンブロック自体も違う)、共通点、互換性はほとんど無い。
アルテッツァが発売された当初、この3S-GE型エンジンはカタログスペック上において国産2000ccの自然吸気エンジンの中では最高出力 (210PS) であった。また、RS200とAS200の6速MTモデルは、トルセンLSDが標準となっている。
サスペンション
プラットフォームは2代目アリストから採用された当時最新の「FRマルチプラットフォーム」の改良版で、プログレに先行採用されていたものをベースに改良されたものである。
フロント、リア共にスープラなどのスポーツカーやクラウンなどの高級セダンにも用いられたダブルウィッシュボーン式サスペンションが採用され、サブフレームを介してボディにマウントすることで運動性能と乗り心地の向上、両立を図っている。なお、この方式は現在も多くの上位車種で採用されている。また、前後重量配分が適正化されるよう、車体の軽量化にも重点が置かれていた。
MT車では、フロントはアリスト用、リアにはアリストより1サイズピストン径が大きいブレーキキャリパーとローターが使われ、ホイールサイズも17インチのものが搭載された。実際、当時の日本のブレーキアセスメント試験で最短制動距離を記録していた[1]。
後のマイナーチェンジではリアまわりのボディの剛性が引き上げられ、リアサスペンションの路面追従性が向上した。そしスポーツABSがGセンサー付のスポーツABSへと変るなどして、走行性能のレベルアップが図られている。
内装
インテリアでは、スピードメーター(マイナーチェンジ後のRS200の6速マニュアルはタコメーター)の内側に水温計・油圧計(AS系は瞬間燃費計)・電圧計3つの計器を配したクロノグラフメーターを採用した。
内装に使用されている革はレクサスISのものよりグレードが落とされており、シフトレバーやパーキングブレーキレバーのブーツはフェイクレザー(合成皮革)が使われていた。
またシフトレバーは当初は全モデルでアルミニウム削り出しのノブを採用していたが、炎天下での使用に支障をきたすことなどから後に合成皮を用いたタイプも登場している。
初期型のアルテッツァは室内装備品が少なく、本革パーキングブレーキレバー&シフトレバーブーツ・リアセンターヘッドレスト・ドアカーテシーランプ・コンライト・ドアミラーヒーター・ステンレス製スカッフプレート・鍵付き起毛グローブボックス等は、後に追加された日本国外仕様の「レクサス・IS」に準じた高級仕様の「L-EDITION」にのみ設定されていた。また、ディスチャージヘッドランプはオプション設定にも存在しなかった。
なお、マイナーチェンジ後はディスチャージヘッドランプやミラーヒーターの標準装備化、パワーステアリングギアの高精度化、ギア比アップによるフィーリング向上、6速MTのギア比変更(クロス化)が行われた。さらに外装・内装パーツのブラッシュアップ(リアコンビ部のブラックスモーク塗装、フロントグリルのデザインをレクサスISと同一デザイン化等)が行われた。
発売開始直後は若者を中心としてRS200のMT仕様が売れ筋だったが、後に他セダンからの乗換えと見られる40歳代以上の中高年ユーザーによるAS200のAT仕様の購入が中心となっていった。