NX125は本田技研工業が1988年3月から1995年にかけて生産していたオートバイ(小型自動二輪車)である。
系統的にはXLシリーズに属しAX-1シリーズとはデュアルパーパス(不整地・舗装道路両対応)として同じNXシリーズの後発兄弟車種にあたる。
排気量が小さいことから全体的におとなしいセッティングで、未舗装道路から市街地まで軽快で扱い易い機動性を実現している。
エンジンやギアは低速域を重視した設定となっており、反面として高速性が犠牲となっている。また全体のカウリングは従来のモトクロッサーやエンデューロマシンなどオフロードレース用の車種にはない雰囲気を与えている。フェンダーもモトクロッサーにありがちな泥除けのための大きくて前輪から離して設置されたものではなく、ロードスポーツモデルに多い前輪に沿った小型のものが採用され、空気抵抗を小さくしている。
シティコミューターとしてのデュアルパーパスやマルチパーパス(デュアルパーパスよりも舗装道路での高速走行を強化した区分)の機能を持つ車種は、1990年代中頃より新しい二輪車のジャンルとしてその地位を確立していったが、その先駆的な車種にあたり、先行するAX-1と共に街乗りから未舗装道路にまで対応するマルチパーパス的なバイクとしての地位を目指した。
カウリングやマフラー回りをステンレス板で装飾するなど、外見にも従来モトクロッサーなどスポーツモデルの持つ攻撃的で機能優先のデザインを排し、軽快で躍動感あふれるものとしているが、モトクロッサーなど本格的なオフローダーモデルに特徴的なアンダーガード(クランクケースを守るプロテクター)を装備しており、この辺りは「トレール」や「トレッキング」と呼ばれる、オートバイによる山歩きに付き物のオフロードやダートコース(泥でぬかるんだ道)で積極的な使用をも意識していたことが伺える。