レクサス(Lexus) は、トヨタ自動車が北アメリカ、ヨーロッパ、アジア、アフリカ、オセアニアなどの全65か国で展開している高級車ブランドである。2005年には、日本国内でのブランド展開も開始された。
レクサスは、1989年よりアメリカで展開が開始されたトヨタの高級車ブランドである。それ以前には、ホンダのアキュラが1986年から日本の自動車メーカーとして初めてアメリカ合衆国でプレミアムブランドを展開していた。アメリカ合衆国では、重厚で威厳を放つ高級車はアメリカンドリームを勝ち得た「勝者のシンボル」であった。市場はキャディラックやリンカーンなどの限られた伝統的メーカーの独擅場で、たとえ壊れやすくとも名門ブランドの名のもとに許容されていた。
しかし、そうしたメーカー都合の販売姿勢に対し顧客の潜在的な不満は極めて高く、社会的成功を誇示するかのような威圧的なデザインの旧来の高級車を避ける傾向は富裕層の中にも確実に存在し、名門とされてきたブランドも若年層にとっては「古臭い」と見えていることをレクサスブランド導入に備え事前調査を進めていたトヨタはつかんでいた。
そこでレクサスでは、伝統や威厳を前提とした旧来の高級車の在り方を否定し、極めて「機能的な」プレミアムを模索した。すなわち、メルセデス・ベンツなどの西ドイツ(現ドイツ)製高級車に匹敵する品質と、日本車ならではの信頼性を高い次元で両立させ、なおかつ妥当な価格設定と優れた経済性、そして最高の接客とアフターフォローをもって、新たな高みを目指すこととなった。
当時はまだ「壊れないが、安物の大衆車」のイメージが強かった日本車に、高級車市場への参入余地はないというのが自動車業界の見方であった。しかしトヨタは、自らを変えるべく、テストコースの建設を始めとした従来を大きく超える評価基準を設定した。
そして、5年にも及ぶ長い開発期間の後、LS(日本名セルシオ)が誕生した。
LSは発売後、初年度だけで約1万1600台を売り上げ、ES(日本名カムリプロミネント→ウィンダム)の4700台を合わせ、レクサス全体では1万6300台を売り上げ、大衆車メーカーによるアメリカの高級車市場参入の成功例となった。
また、LSやES・SC(日本名ソアラ)などとした車種はトヨタからレクサスブランドに車名が変わっている場合が多くある。